skycloverBOOKS
OTHER BOOKS AND PHOTOGRAPH
「忘れられた雨の国、リトアニア」本文より
目が、モノクロになってしまったかと思う。
全てが白い石膏で飾られた世界。
わずかに差し込む冬の光が陰影を作り
仄暗い世界に重厚なレリーフを浮き立たせる。
たくさんの天使たちの声も神々の囁きも
この石膏に塗り込められてしまいそう。
Vilniaus Sv. Apastalu Petro ir Povilo parapija
荒野に突然現れる無数の十字架。
その名の通り、
ここは「十字架の丘」を呼ばれている場所。
世界中から巡礼者が訪れて
十字架やロザリオを捧げる。
でも、ここには何も眠っていない。
Jurgaičiai
Kryžių kalnas
ロシア調、と言われた天井画に目を奪われる。
誇らしげな女神の裾に隠れる不安げな男性たち。
自分はロシア人だ、という人を見かける。
目に力があるのだけど
どこか陰鬱で神経質な感じがする。
彼らと対峙する時、
なぜかこの絵画を思い出すようになった。
Vilniaus universiteto biblioteka
「暮らすように旅したリトアニア」本文より
世界が蒼くなる時間を見計らって
大聖堂前の塔に登る。
クリスマスの時期はみんな、
日が暮れるとホットワインを飲む。
こっちでいうと北欧風でグロッグ。
ブルーベリーとがが入ってることも。
Kalėdų rinka
Vilniaus katedra
Pocheはまだ
生後2ヶ月だから落ち着きがなくて…と
mildaが言ってたけどその通り…。
こんなに小さな猫と過ごしたのは
初めてだったけれど
思っていたより大人でびっくりした。
Apartamentai
Pylimo , Vilnius
こちら、
木馬の看板がとても素敵で
ディスプレイも一番好みの
お店だったのだけど…
「13:45に戻ります」の文字。
もちろん待ったけど戻って来なかった。
Lininė parduotuvė
Bernardinų , Vilnius
NAO KIRISIMA
写真家を名乗る桐島ナオ。
でも、
本当は代名詞や肩書きなんて何だっていい。
この気持ち、この記憶を、
誰にも言わずシャッターを押そう。
ひとは、ひとりぶんの孤独だけを
抱えて生きている。
それでも、残したいと思うのは、
なんでなんだろう。
桐島 ナオ Nao Kirisima
写真家 Photographer
神奈川県生まれ
中央美術研究所出身
成人後に写真を学ぶ元は絵描き。文章を書いたり衣装を作ったり創造する事が好き。
趣味は植物と料理と猫と旅。チェロはお休み中。